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L.A.コンフィデンシャル

L.A.コンフィデンシャル / L.A. CONFIDENTIAL

1997年 アメリカ映画 ワーナー・ブラザーズ製作

監督:カーティス・ハンソン
製作:アーノン・ミルチャン  カーティス・ハンソン  マイケル・ネイサンソン
原作:ジェームズ・エルロイ
脚本:ブライアン・ヘルゲランド  カーティス・ハンソン
撮影:ダンテ・スピノッティ
プロダクションデザイン:ジェニーン・オッペウォール
衣装:ルース・マイヤーズ
編集:ピーター・ホーネス
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

出演:ケヴィン・スペイシー  ラッセル・クロウ  ガイ・ピアース
    キム・ベイシンガー  ジェームズ・クロムウェル  ダニー・デヴィート




この映画を見るのは5、6回目くらいかな。

初見は中学生の時でしたが、おもしろいと思いましたし
難しかったという記憶もないです。
当時の自分は、例えばポリティカル系のサスペンス(今でもあまり好んで見ません)は
全く理解できないくらいだったんですが
そんな僕でも混乱することなく見れた「L.A.コンフィデンシャル」

今、見直してもおもしろさは変わりませんでした

見やすい理由を考えると

まず起承転結がハッキリしてます

起 主要キャラ三人の登場とメキシコ人暴行事件
承 カフェの惨殺事件とその解決
転 殺人事件、実は解決してなくて調査しなおす、真実が段々見えてくる
結 二人の主人公和解、クライマックスへ

何時までもダラダラ続けてんなー、と思ったら、もう終わり近くだったというのでもなく
逆に飛ばしすぎ急ぎすぎてるわけでもない。
約140分という時間のなかで事件の顛末だけでなく、それに関わる人間の姿も見せていく。
完璧な構成ですね

それとキャスティング、ケヴィン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアース
刑事を演じる三人がそれぞれ見事にハマっています。
特にハリウッド映画に出始めてまもなかった後者二人は先入観がまっさらだったこともあるのでしょうが
肉体派刑事、頭脳派刑事のイメージそのものでした。

今回改めて気づいたのはラッセル演じるバド、ガイ演じるエドの初登場場面。
ケヴィン演じるジャックは参加したドラマの打ち上げパーティで初めて出来ますが
その時、彼は踊っています。

しかしバドとエド、この二人は最初に画面に出る時、カメラのほうを向いています。
まるで観客のほうを見ているかのようです。
この名も知られていない役者二人が重要人物であり、主役なんだという強い印象を与えます。

まぁケヴィンはこの時点で名優だから、そういう必要もなかったんだろうけど(笑)

タブロイド記者役のダニー・デヴィートのモノローグが一通り終わって



彼のドアップから物語は始まる。この表情から何を感じる?
生真面目そう、とか、怖そう、とか色々あるでしょう。
でも誰しも思うであろうことは、この男ただものじゃないっていうこと
見事な掴みです(つーか完全にファン目線w)

見つめているというよりはほとんど睨んでいると言っていい。
DV常習犯を見張っているから当然だけど。

バドは女性への暴力は見逃さない、許さない

なのにどうして彼自身が信条を破るのかという意見は尤もですが

時折、突発的な感情を抑えることができない男がバドであり
そのことで何よりも苦しむのは彼自身なのだ。

そしてバドは熱い正義漢だが100%クリーンではない。

メキシコ人女性を暴行・監禁した黒人グループ三人の隠れ家に単独で突入。
犯人の一人に気づかれぬまま、忍び寄り......(完全にプロの手腕)

無防備の黒人を撃った
抵抗する間もなく胸を打ち抜かれ死亡した黒人
反撃されたと見せかけるため、バドは自分の立っていたドア付近に発砲
拳銃を黒人の手に握らせる(バレバレでしょう......)

ここの部分だけは何回見てもどうなんだろうと思いますけど(笑)
このときバドはどうしようもない激しい怒りに震えていたに違いない。

エドにしてもそうで、序盤で、警部のダドリー・スミスに
「更生の見込みのない悪人を背後から撃てるか」という質問をされたエドは
キッパリと「しません」と答えます。そんなことは断固として拒否する、と。
しかし真犯人だったスミスはまさにこの状況でエドに射殺されます。

あれほど嫌った行為を自ら実践するエド
信念を覆すほどの憤りがあったのでしょうね。

こういうやり方は正しいとはいえませんが、
いつでも正しいわけじゃないのが人間なのです。

どこからが白でどこからが黒なんだ?
自問自答しながら正義のために闘いつづけることを決意するエド

ようやく過去から解き放たれ、パートナーとともに新たな人生に踏み出すバド

バドとリンが乗る車がLAから去っていくところで、映画は終わる。

バドとエドの成長譚でもあった、この作品。

ただ、演技に関してはケヴィンが光ってたなあ

元々、冴えのあるベテラン刑事ジャックでしたが
エドとコンビを組んで捜査していくにつれて、かつての熱意を取り戻していく。

とはいえ「ユージュアルサスペクツ」で「セブン」のケヴィンですからね
初めて見たときはケヴィン=真犯人?!なんて予感もうっすらとよぎった。

スミス警部に直接話を伺おうと訪問し、そこで・・・・・・!

誰が犯人でもおかしくないっつーのがミステリーなんだけど
さすがにベイブのお爺さんに限って......

撃った!ジャックを撃った!

非常に多く見られるコピペで「何をされたのかわからなかった(ry」というのがありますが
ジャックも撃たれた瞬間、何をされたのか、何でこうなったのかわからなかっただろうと思う。
すぐに表情に出てくるんですけどね、「ああ、こいつなんだ、こいつがロロ・トマシなんだ...」って

力なく一言”ロロ・トマシ”とつぶやき
ニヤニヤともヘラヘラともいえない微妙な笑顔で息絶えるジャック。
苦しむでもなく、目を瞑るでもない、無表情の死に顔。
この顔が20秒間くらい続きます

ケヴィンの顔面演技、凄い

全体的にシリアスな映画ですが笑った箇所もいくつか

その1

資料室のオッサンに解決済みの事件の資料を見せてくれというバド。
その後、エドが資料室に行くとオッサンが一言
「あいつ(バド)思ったよりはバカじゃない」
ジャックにも似たようなこと言われてました。
バドは同僚からどれだけ頭悪いと思われてたんだろう。

その2

序盤に警官を負傷させた容疑でメキシコ人が大量に逮捕。
それを知った刑事たちは報復を決意。
男子校の不良生徒と化した刑事連中を優等生エド君は止めようとしますが
甲斐なく小部屋(?)に閉じ込められてしまいます。
ガラス越しで聞こえないけどエド君は何か叫んでいます。
多分、「止めないと警部に言いつけるぞー」みたいなことを言ってるんだろうな
そういうことが容易に想像できてしまう(笑)

その3

一時期、暴力野郎のイメージが付いてしまったラッセル。
プライベートならともかく、映画の中ではそういう役多くないです。
ですが、このバドは何度も噴火シーンがありますね。
特に、嫌味な検事をトイレに顔突っ込ませた後に逆さづりにするところの
怖さはガチ。野獣刑事ここに極まれり!


それと原作からかなり脚色されてるのね、この作品
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三者三様の正義

L.A.コンフィデンシャル 原題:L.A. CONFIDENTIAL 製作1997年 アメリカ 監督:カーティス・ハンソン 原作:ジェームズ・エルロイ 脚本:ブライアン・ヘルゲランド、カーティス・ハンソン

一緒に「L.A.コンフィデンシャル」を観ませんか?

<みなさんの記事> 陽面着陸計画 『L.A.コンフィデンシャル』 映画鑑賞の記録 (2-908) LAコンフィデンシャル (2回目) おもしろい本が読みたい!! 「L.A.コ

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中学生の時に初見で理解!?

すごいじゃないですか!
わたしなんて三度目でも危ういですよ。主な原因は顔も名前も覚えられないことですけど、もしそれがわかっても、筋を追うのが大変だったと思います。

>時折、突発的な感情を抑えることができない男がバドであり
そのことで何よりも苦しむのは彼自身なのだ。

バドの潤んだ瞳から、そういう苦悩が滲み出てて、引き込まれました。
黒人の犯人グループの隠れ家に入っていった時の様子は、手馴れてる感じが怖かったけど!
ケヴィンの方は、ゲイの俳優の遺体を発見した時と、撃たれた時の表情がホント素晴らしかったです。今回の再見で色々わかって、一気に好感度上がりましたね~。

あと、笑った箇所その1はわたしも思いました(笑)
やっぱり、後先考えずプッツン切れちゃうのがまずいんですかね~。同僚にバカだと思われてるとか…死んだ相棒もそう思って彼と組んでたのかな?

今回もご参加ありがとうございました~!

No title

バーンズさん、こんにちは。
さすがラッセルファンだけありますね!
彼のことがよくわかりました。

>そのことで何よりも苦しむのは彼自身なのだ。
バドが刑事になったのは母を痛めつける父が許せなかったからです。
でも、女性に暴力を振るう自分には
やはり父の血が流れているのだと自覚することになり
とても苦しんだと思います。
・・・とこんな描写はなかったですが、
ラッセルの顔を見てたらこういう想像をしちゃいました。

>ケヴィンの顔面演技、凄い
本当にそうですよね。
二人に比べるとスクリーンに出てる時間が少ないのに
ここまでの存在感を示せるなんてケヴィン以外にはできなかったかもしれません。

>全体的にシリアスな映画ですが笑った箇所もいくつか
私は本物の女優さんを整形した娼婦と間違えてるエド、
そして隣で笑いを堪えてるジャック・・・という場面に笑いました。
暴力描写の多い映画だったけれど、ちょこちょこクスリとさせてくれてよかったです。

No title

宵乃さん、こんにちは

「LA」の前にも「アンタッチャブル」(TVドラマ版も見てました、途中から覚えてないけど....)
とか見てたんで
アメリカの刑事モノ、捜査モノの雰囲気は結構好きだったていうのもあったかもしれません。

慕っていた相棒が麻薬の売買で懐を温めていたって知った時はバドもショックだったろうけど、あいつがそんなことやってるわけない!なんていう間違った方向に行かない、冷静な捜査ぶりがかっこよかったですね
バドだけじゃなくてエドとジャックもそうですけど(笑)

No title

マミイさん、こんにちは

>ラッセルの顔を見てたらこういう想像をしちゃいました。

人の二面性とか
劇中に描かれてない、”その後”をふと考えてしまう作品ですね

>本当にそうですよね。
>二人に比べるとスクリーンに出てる時間が少ないのに
>ここまでの存在感を示せるなんてケヴィン以外にはできなかったかもしれません。

死に際の生命力が抜けてく目が忘れられない.......
エドと組んでからもイイ先輩でしたね。

ただ、この作品においては僕の笑いどころはちょっとずれてるかも(笑)

こんにちは!

お久しぶりになってしまいました(=_=;)
今回は一緒に鑑賞してくださってありがとうございます!

ポリティカル系のサスペンスはあまりお好きではなかったんですね~!
しかし中学生の頃にご覧になっていたとは!!
私はなんで今日の今日まで観なかったんでしょう・・・。

>バドとエド、この二人は最初に画面に出る時、カメラのほうを向いています。
>まるで観客のほうを見ているかのようです。
>この名も知られていない役者二人が重要人物であり、主役なんだという強い印象を与えます。

わーー、私全然そのうまさに気づけませんでした・・・。
ケヴィンとダンスもいいなぁとかズレた方向に意識が・・・。
なんだか不思議ですよね~、これが出世作なラッセルだなんて!
今は映画に欠かせない大物俳優なので、感慨深いです。
(ファン歴そんなに長くない私が言うのはあれですけども・・・)

“完全にファン目線”なのは私もで、
映画冒頭でのアップのシーンはビリビリオーラを感じました(笑)

あんなに自分の父親を反面教師として生きてきて、
その信念ゆえ、女性に手を挙げる男には
例え職務から外れたことであってもゆるせなかったのに、
リンを殴ってしまったというシーンは半泣きでした。うまいシーンでした。
一番自分を責めたでしょうね。
リンに顔を合わせることができないくら落ち込んでましたもん。

ジャックが撃たれしたシーンが
一番泣きましたけどね。
おじいさんやりおったと(;Д;)
私もケヴィンを疑ったりもしました(笑)
いろいろ裏切られるキャスティングだったなって思います!
演技合戦も眼福でしたし!

Re: こんにちは!

>ポリティカル系のサスペンスはあまりお好きではなかったんですね~!

好きな役者が出てたらって感じですね、その辺りは
ポリティカルものなのかは微妙ですけど
最近「ボーン・レガシー」への期待値は無性にアガっています(笑)


> なんだか不思議ですよね~、これが出世作なラッセルだなんて!

「インサイダー」「グラディエーター」も大きいですけど
それも「LAコンフィデンシャル」があってこそですよね。
この映画に出てなければ、ラッセル、もしかしたら悪役俳優になっていたかも.....
実力が備わっているのは必須ですが、作品に恵まれる運も大事です

> おじいさんやりおったと(;Д;)

暴力による自白を平然と指示してたから、クリーンではないなというのは
最初の展開で分かりますけど、自らの手で銃殺は、ショックでしたね

バーンズさん、こんにちは!

渋くて濃密な男の映画、これは好きな作品です!
やっぱり中学生でこれを理解したと言うのは凄いですよ。
私なんて、未だに誰がバドでエドか、混乱しちゃうもの。
ラッセルとかガイと言ってくれないと分からなくなる(^▽^;)
ストーリーも前半はスッキリしてなくて、
後半からだんだん見えてくる話なので、単純じゃないです。

主役はその2人でラストも2人の対照的な姿を見せるんだけど、
ケヴィンを含めた三者の 警官としてあり方が描かれていたと思います。
それぞれに表裏の両面があって全く違った仕事ぶりでも、
ある正義感では一致すると言う、
そこがカッコ良かったなあ。

まさか真犯人があの人だとは、ビックリでした。
ケヴィンの顔は私もしっかり覚えています。

最近TBが上手く行かないので、名前URLにリンクを貼り付けておきます。

YANさん、こんばんは

二人とも顔は全く違うのに名前が”ド”で終わるから混乱するんですよね。

三人は黒いものをそれぞれ抱えてるんだけど譲れないものもあって、
最終的には同じところに行き着くんですよね。

ただ死んでいくわけじゃないんだぞっていうプライドも感じました
あの力ない笑顔には。

楽天とかアメブロもいつのまにかTB出来なくなりましたけど
FC2もそうなるんですかねえ
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バーンズ

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2010年4月からブログ始めました。
1985年生まれの北海道住まい。

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