誓い
誓い / GALLIPOLI
第一次大戦下、オーストラリア人の若者アーチーとフランクが
ANZAC(オーストラリア・ニュージーランド連合軍)に入隊する。
短距離走大会で出会った二人は、性格は正反対だが意気投合し、親友となった。
部隊は激戦地ガリポリへと派遣され、固い絆で結ばれた彼らにもやがて出撃の日がやってくる.....
1981年 オーストラリア映画
監督・原案:ピーター・ウィアー
製作:ロバート・スティッグウッド
脚本:デヴィッド・ウィリアムソン
撮影:ラッセル・ボイド
編集:ウィリアム・M・アンダーソン
出演:メル・ギブソン マーク・リー
第一次大戦下、オーストラリア人の若者アーチーとフランクが
ANZAC(オーストラリア・ニュージーランド連合軍)に入隊する。
短距離走大会で出会った二人は、性格は正反対だが意気投合し、親友となった。
部隊は激戦地ガリポリへと派遣され、固い絆で結ばれた彼らにもやがて出撃の日がやってくる.....
1981年 オーストラリア映画
監督・原案:ピーター・ウィアー
製作:ロバート・スティッグウッド
脚本:デヴィッド・ウィリアムソン
撮影:ラッセル・ボイド
編集:ウィリアム・M・アンダーソン
出演:メル・ギブソン マーク・リー
オーストラリア出身の映画監督で一番有名なのは
「マッドマックス」のジョージ・ミラーとこの作品のピーター・ウィアーではないでしょうか。
ウィアー監督作品「マスター・アンド・コマンダー」に主演したラッセル・クロウは
同監督の初期作品「ラスト・ウェーブ」が大好きで、その憧れの巨匠と仕事ができるなら、と
二つ返事で出演を承諾したのだそう。
豪州の映画人にとっては、それこそマスターみたいな存在なんでしょうね
メル・ギブソン主演の「誓い」は、世界的に高い評価を受け
ウィアー監督を豪州の新鋭から国際的な巨匠に押し上げるきっかけとなった作品です。
この映画は戦争映画というよりは青春映画といえるかもしれません。
前半が青春ドラマで後半になるにつれて徐々に戦争の要素が濃くなってきます。
彼らが、戦況をよく知らないまま志願し
(フランクの仲間は”GALLIPOLI”の読み方も知らなかった)
戦地に配属されて現実を目の当たりにする展開に沿っています。
マーク・リー演じるアーチーは愛国心の熱い理想家肌
メル・ギブソン演じるフランクは母国やイギリス(当時、豪を実質的に支配していた)
のために戦うつもりはない。戦争に行くのは自分のため。
戦争から生きて帰ったら箔が付くだろ、と、ふてぶてしい。
フランクと最初につるんでいた仲間にしてもそうなんですが
彼らが兵に志願したのは、一種の冒険のような感覚もあったのではないか、と
オーストラリアは本格的な外国との戦争は第一次大戦ガリポリの戦いが初めてということで
この国の多くの若者は戦争というものをよく知らなかった。
少なくとも映画の中の若者達はそう見えます。
エジプトでの訓練シーンは何だかのどかで楽しそう。
自由時間には異国情緒溢れる町並みを遊びまわる。
まさに男の青春といった雰囲気です。
土産屋に因縁つけるのはどうかと思いましたけど。
店主のおじさん勘違いで店内壊されて気の毒でしたが
これも若気の至りですね。
晩餐会のシーンでは若々しい情熱と夢に溢れています。
オーストラリアの未来 俺たちの未来 何だって出来るんだ
直後、戦地ガリポリに赴く場面に切り替わりますが、
明らかに雰囲気が違います。クラシックをBGMに闇と霧の中を進むボート
すでに悲壮感が漂っています。ここで完全に幻想は終ったのです。
ただ戦場についてからも、少しのんびりしたテンポではありますが
段々、出撃を前にアーチーとフランクの不安や動揺が大きくなっていくのがわかります。
砲撃による轟音や地響き、銃撃音を聞いて思わず立ち上がるところは秀逸ですね。
彼らは音しか聞こえないわけですけど、もうすぐ自分らの出番だよな...っていう心情が伝わる。
今度は突撃の様子を直接見せていくんですが、ここからは悲惨の一言
前半があっけらかんと明るいから、余計に際立つ。
さて、アーチーは伝令役を任せられるのですが、フランクに譲ります。
足の速さには自信があるアーチーですが、光のごとき速さで飛んでくる銃弾にかてるわけがない。
自分が走ってる間にも兵士は容赦なく撃ち殺されるだろう。
ならば、せめて親友の命は....という心境だったのだろうか
塹壕の中を走るのと機銃の前に身をさらすのを比べれば、明白である。
どちらが伝令を務めても惨い結果になってしまう、この状況。
フランクは走る。
「戦争なんて俺の人生には関係ない。勝手にやってればいい」
「ピラミッドなんてただの石の塊さ」
そんな台詞を吐き、常に斜に構えていた男が友のために走る
たどり着いた指令本部で、すでにイギリス軍は上陸していたことを、フランクは知る。
つまり、もう兵士が敵陣に突撃する必要はなかった。
オーストラリア・ニュージーランド連合軍の役目は敵陣の奪取ではなく
イギリス軍が上陸するまでのただの時間稼ぎだった。
「今頃イギリス人はのんびりお茶でも飲んでるでしょう」という台詞が実に痛烈。
フランクの父親がイギリスで絞首刑にされたという設定もあり
オーストラリア人のイギリスに対する複雑な思いを感じさせます
この作品のイギリス批判はそれほど前面に出るものではなく
あてこすり程度のものですが
監督の意図(というのがもしあったのなら)には正当性があると思いますね
監督はイギリスに対して恨みを言ってるわけではないはず。
ただこういう事実があったことを今一度、知ってほしかったのだと思います。
往々にして戦争映画はそういう側面を持っていますけどね。
攻撃中止の命を授かり、再び味方の元に駆けるフランクですが
隊長に知らせが届くことはありませんでした。
笛の音とともに、兵士が一斉に飛び出し、集中砲火を浴びる。
フランクは発狂したかのように叫び
アーチーの胸には銃弾が撃ち込まれる。その瞬間、画面は静止し、やがて暗転する。
そしてエンドロールが流れ始め、映画は終る。
あまりに救いのない結末です。
しかし、その後、フランクがどうなったか、といったエピローグを付け足したら
かえって蛇足になったと思いますね。
この作品には直接、反戦を訴える台詞は出てきません
でも、映像で見せられるのは、同等か、それ以上に効果的だと思います。
ラストシーンはまさにその代表例といえるでしょう。
BGMとして何度も流れるクラシック、アルビノーニのアダージョが、物語をより悲しく感じさせる。
「マッドマックス」のジョージ・ミラーとこの作品のピーター・ウィアーではないでしょうか。
ウィアー監督作品「マスター・アンド・コマンダー」に主演したラッセル・クロウは
同監督の初期作品「ラスト・ウェーブ」が大好きで、その憧れの巨匠と仕事ができるなら、と
二つ返事で出演を承諾したのだそう。
豪州の映画人にとっては、それこそマスターみたいな存在なんでしょうね
メル・ギブソン主演の「誓い」は、世界的に高い評価を受け
ウィアー監督を豪州の新鋭から国際的な巨匠に押し上げるきっかけとなった作品です。
この映画は戦争映画というよりは青春映画といえるかもしれません。
前半が青春ドラマで後半になるにつれて徐々に戦争の要素が濃くなってきます。
彼らが、戦況をよく知らないまま志願し
(フランクの仲間は”GALLIPOLI”の読み方も知らなかった)
戦地に配属されて現実を目の当たりにする展開に沿っています。
マーク・リー演じるアーチーは愛国心の熱い理想家肌
メル・ギブソン演じるフランクは母国やイギリス(当時、豪を実質的に支配していた)
のために戦うつもりはない。戦争に行くのは自分のため。
戦争から生きて帰ったら箔が付くだろ、と、ふてぶてしい。
フランクと最初につるんでいた仲間にしてもそうなんですが
彼らが兵に志願したのは、一種の冒険のような感覚もあったのではないか、と
オーストラリアは本格的な外国との戦争は第一次大戦ガリポリの戦いが初めてということで
この国の多くの若者は戦争というものをよく知らなかった。
少なくとも映画の中の若者達はそう見えます。
エジプトでの訓練シーンは何だかのどかで楽しそう。
自由時間には異国情緒溢れる町並みを遊びまわる。
まさに男の青春といった雰囲気です。
土産屋に因縁つけるのはどうかと思いましたけど。
店主のおじさん勘違いで店内壊されて気の毒でしたが
これも若気の至りですね。
晩餐会のシーンでは若々しい情熱と夢に溢れています。
オーストラリアの未来 俺たちの未来 何だって出来るんだ
直後、戦地ガリポリに赴く場面に切り替わりますが、
明らかに雰囲気が違います。クラシックをBGMに闇と霧の中を進むボート
すでに悲壮感が漂っています。ここで完全に幻想は終ったのです。
ただ戦場についてからも、少しのんびりしたテンポではありますが
段々、出撃を前にアーチーとフランクの不安や動揺が大きくなっていくのがわかります。
砲撃による轟音や地響き、銃撃音を聞いて思わず立ち上がるところは秀逸ですね。
彼らは音しか聞こえないわけですけど、もうすぐ自分らの出番だよな...っていう心情が伝わる。
今度は突撃の様子を直接見せていくんですが、ここからは悲惨の一言
前半があっけらかんと明るいから、余計に際立つ。
さて、アーチーは伝令役を任せられるのですが、フランクに譲ります。
足の速さには自信があるアーチーですが、光のごとき速さで飛んでくる銃弾にかてるわけがない。
自分が走ってる間にも兵士は容赦なく撃ち殺されるだろう。
ならば、せめて親友の命は....という心境だったのだろうか
塹壕の中を走るのと機銃の前に身をさらすのを比べれば、明白である。
どちらが伝令を務めても惨い結果になってしまう、この状況。
フランクは走る。
「戦争なんて俺の人生には関係ない。勝手にやってればいい」
「ピラミッドなんてただの石の塊さ」
そんな台詞を吐き、常に斜に構えていた男が友のために走る
たどり着いた指令本部で、すでにイギリス軍は上陸していたことを、フランクは知る。
つまり、もう兵士が敵陣に突撃する必要はなかった。
オーストラリア・ニュージーランド連合軍の役目は敵陣の奪取ではなく
イギリス軍が上陸するまでのただの時間稼ぎだった。
「今頃イギリス人はのんびりお茶でも飲んでるでしょう」という台詞が実に痛烈。
フランクの父親がイギリスで絞首刑にされたという設定もあり
オーストラリア人のイギリスに対する複雑な思いを感じさせます
この作品のイギリス批判はそれほど前面に出るものではなく
あてこすり程度のものですが
監督の意図(というのがもしあったのなら)には正当性があると思いますね
監督はイギリスに対して恨みを言ってるわけではないはず。
ただこういう事実があったことを今一度、知ってほしかったのだと思います。
往々にして戦争映画はそういう側面を持っていますけどね。
攻撃中止の命を授かり、再び味方の元に駆けるフランクですが
隊長に知らせが届くことはありませんでした。
笛の音とともに、兵士が一斉に飛び出し、集中砲火を浴びる。
フランクは発狂したかのように叫び
アーチーの胸には銃弾が撃ち込まれる。その瞬間、画面は静止し、やがて暗転する。
そしてエンドロールが流れ始め、映画は終る。
あまりに救いのない結末です。
しかし、その後、フランクがどうなったか、といったエピローグを付け足したら
かえって蛇足になったと思いますね。
この作品には直接、反戦を訴える台詞は出てきません
でも、映像で見せられるのは、同等か、それ以上に効果的だと思います。
ラストシーンはまさにその代表例といえるでしょう。
BGMとして何度も流れるクラシック、アルビノーニのアダージョが、物語をより悲しく感じさせる。
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