ダークナイト
僕はこのブログで何度もクリストファー・ノーラン監督が嫌いだと書いてきました。
でも、この作品のレビューはしたかった。
まだ見ていない「ダークナイトライジング」の前に、ということもあり
振り返りたいと思います。
ダークナイト / THE DARK KNIGHT
2008年 アメリカ映画 ワーナー・ブラザーズ製作
監督:クリストファー・ノーラン
製作:チャールズ・ローヴェン エマ・トーマス クリストファー・ノーラン
キャラクター創造:ボブ・ケイン
原案:クリストファー・ノーラン デヴィッド・S・ゴイヤー
脚本:ジョナサン・ノーラン クリストファー・ノーラン
撮影:ウォーリー・フィスター
プロダクションデザイン:ネイサン・クロウリー
衣装:リンディ・ヘミング
編集:リー・スミス
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード ハンス・ジマー
出演:クリスチャン・ベール ヒース・レジャー アーロン・エッカート マイケル・ケイン
モーガン・フリーマン マギー・ギレンホール ゲイリー・オールドマン
でも、この作品のレビューはしたかった。
まだ見ていない「ダークナイトライジング」の前に、ということもあり
振り返りたいと思います。
ダークナイト / THE DARK KNIGHT
2008年 アメリカ映画 ワーナー・ブラザーズ製作
監督:クリストファー・ノーラン
製作:チャールズ・ローヴェン エマ・トーマス クリストファー・ノーラン
キャラクター創造:ボブ・ケイン
原案:クリストファー・ノーラン デヴィッド・S・ゴイヤー
脚本:ジョナサン・ノーラン クリストファー・ノーラン
撮影:ウォーリー・フィスター
プロダクションデザイン:ネイサン・クロウリー
衣装:リンディ・ヘミング
編集:リー・スミス
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード ハンス・ジマー
出演:クリスチャン・ベール ヒース・レジャー アーロン・エッカート マイケル・ケイン
モーガン・フリーマン マギー・ギレンホール ゲイリー・オールドマン
まず、この映画は気に入らないものの傑作だと思っています
しかし僕は言いたい放題、書かせていただきます!
正直、ひいてしまわれるでしょう。ゲスと思われてしまうかもしれません
いや、今回の僕はゲスと化しました!(というか前から?)
では、どうぞ
この作品の最大の見所はやはりジョーカーを演じるヒース・レジャーでしょう。
いやヒース・レジャーが演じるジョーカーというべきだろうか。
役者とキャラクターが融合して、画面の中の架空の存在にもかかわらず
実体として存在するかのように見るものに迫ってくる狂気
これ以前も狂気じみたキャラクターは映画史に多く登場し人気を集めてきました。
最近の作品しか話題に出せず恐縮ですが
「カリフォルニア」のブラッド・ピット、「レオン」のゲイリー・オールドマンなど
しかし、それらを凌駕する究極の狂人、超狂人(そんな言葉あるのか?)
それがジョーカーだったと思います
冒頭の銀行襲撃、強盗団はボスの「用済みになったら消せ、取り分がそのぶん増えるぜ」という
指令のもと次々と仲間を始末していく。最後に残った男こそ、そのボス=ジョーカー。
ピエロ風のマスクを脱いだら白塗りの顔が大写し
度肝を抜くような登場である。
その後もジョーカーの暴走が続く、同じ悪党であるマフィアのルールや価値観すら破壊していく。
誰がこいつを止めてくれ、と思う一方
不謹慎であるが、どこまで行き着くのか、見てみたい気持ちにもさせられる。
そして、凶悪だけど、同時に一種の愛嬌もヒースのジョーカーには在った。
(ニコルソンにもいえることですが)
ゲームで遊ぶ無邪気な子供のように悪事を重ねるジョーカーだが
彼の真の目的は人の本質は醜悪である、ということを世界に、何よりバットマンに見せ付けることだ。
それが達成されれば金も要らない、自分の命も惜しくない。
またバットマンに殺されようが、それもジョーカーにとっては勝利なのである。
バットマンは相手が悪党であっても怒りに任せて殺すことを拒むので
ジョーカーを殺してしまったら、己の信条を無意味としてしまうのだ
(あくまでノーラン版バットマンの場合。T・バートン版は割と殺るのに抵抗なかった感が)
もはや打つ手なし、か?
しかし、ついにジョーカーも読みを外した。彼にとって恐らく初めての誤算。
その時の表情は心底落胆しているように見えた。
ニコルソンのジョーカーなら「あー、つまんねえ」とさっさと切り上げて
また別の、新しい玩具を探しただろう。
本人が言うようにまるで先を読めるかのような、得たいの知れなさ
まるで本物の悪魔なのか、とまで思わせたヒース・レジャー版ジョーカーも生身の人間だったのだ。
ここまで書いて気づいた。
俺、ジョーカー好きなんじゃん。
とはいっても極悪人です。共感とかはありえないし、しちゃいけないんですけど
ただ純粋にキャラクターとして魅力的ですし
悪役がヒーローを超えるほどの人気を得るというのも少なくありません。
日本の漫画でいうとディオ・ブランドーがまさしくそれでしょう。
ジョーカーがフェードアウトしてからも、もう一波乱あります。
この展開というかストーリーの力も「ダークナイト」のヒットや評価の要因な気がします。
アクションよりも話で引きつけるという。
この作品ってアクションシーンもありますけど、それほど目を見張るものではないなと僕は思ってます。
バットマンの格闘シーンは生身で地味。ただ地味だからこそのリアリズム、凄みを出して
個性とするアクション映画もたくさんあるじゃないですか、「アポカリプト」なんてまさにそうだし
でも、「ダークナイト」はそういう風にも感じなかったし、編集も見やすくはなかった。
本当に今作のバットマンの格闘アクションは味気ないなと思います。
護送車とバイクのチェイスシーンは凄かったですが、あれくらいなら他の映画でもありそう。
ただサスペンスとなると出色でしたね。
ヒーロー映画ではヒーローの活躍するアクションシーンがやっぱり見せ場になるだろうし
観客もそれを見たがるもんだと思うけど
「ダークナイト」の、リアルな犯罪ドラマのように役者の演技とスリリングな展開で押していく
という点は斬新でしたね
デントが復讐に乗り出すのが後半30分というのがちょっと急な気もしますが
彼がジョーカーに銃を突きつけコインに託す場面がありますが
普通の作品ならあそこで仇討って終っちゃいますよね。
復讐したいだけなら、殺して回ればすむ事だし
最後まで検事の仕事を彼なりに全うするつもりだったのでしょう。
そこが怖いところです、デントも好きなキャラですけど。
肝心の主役について、バットマン
今回のバットマンことブルース・ウェインは非常につらい立場に置かれています。
同じ街を守る側である警官からは、お前のせいで仲間が死んだと言われ
市民からは余計なことすんな、と非難される。
ついには思い続けたレイチェルまでも失ってしまう。
ゴッサムシティのために正しいと信じることをしてきた
それらは全て無駄だったのか、事態を悪化させただけなのか?
苦しむブルース、耐えるブルース
しかし、ジョーカーとの戦いを経て、自分の役割を改めて見出す。
俺はヒーローじゃない。民衆に愛されることはないだろう。
ならば闇の中で見守り続けるしかない。
バットマンはヒーローじゃない。監視者なのだ。
全ての罪を背負い、走り去るバットマン。
子供に呼び止められても決して振り向かない後姿は、
まるでマカロニウェスタンのガンマンのようだ。マントはポンチョのようにも見えてくる。
「彼は沈黙の守護者 畏れられる番人 ”闇の騎士=ダークナイト”だ」
というゴードン警部補の言葉で映画は終る
この後、現代の英雄神話は最終章に突入する!
ここまでだと、なーんだ結局褒めてるじゃんって感じでしょう?
こっから毒づきますから
ほんとね、この映画傑作だと思うんですよ。
今までのヒーロー映画でもシリアスな部分はありましたが
ついにここまで踏み込んだかというのが「ダークナイト」であり
他の作品とは一線を画するとも言わしめました
しかし僕は見ていて段々重苦しさを感じてしまいましたね。
ブルースがいかに苦しんでいるか追い詰められているかを強調しすぎている感がありました。
あとバットマンの孤軍奮闘を際立たせるためには仕方ないですけど
警察が無能すぎます。いや、無能すぎってのは言い過ぎでした。
ゴードンも頑張ってましたけど、ジョーカー相手だと冴えないっつーか後手に回らざるを得なかったですね
ただ、それ以外の警官はザルでしたね。
留置所でジョーカーの挑発に乗ったオッサン「よぉーし、叩きのめしてやる!覚悟しろ!」って
次の場面で登場したら人質になってて、雑魚すぎワロタw
逆に考えるんだ、ちゃんと訓練受けてる警官でも歯が立たないくらいジョーカーは強い、と考えるんだ
そうこうしてるうちに、どんどんバットマンの孤高性が際立っていく。
それは、この台詞、というか、やりとりで頂点を迎える
ゴードンの息子「どうしてバットマンは逃げるの?」
ゴードン「パパ達が追うからだよ」
息子「何も悪いことしてないのに」
そうです、バットマンは悪くありません、あえて罪を被ったのです。
ただ、それは僕ら観客にはわかってることだよね。
演出でそれを見せてるんだから。
なのに、ダメ押しのように子供に言わす意図は何なんだ?
僕が考えるにズバリこうだ
「純粋な子供の目は何よりも物事の本質を見抜く!」 by レイ
正確じゃないかもしれないけど大体こんな台詞だった
レイといっても色々居ますけど

この人です。
このキャラクターはかっこよかったね。セクシーだった。
一部ではザコ説が囁かれているらしいですが、かっこよければいいのです。
話を戻して彼のこの台詞は、真理をついている
映画にしろ、小説にしろ
物語において、子供というのは純粋さの象徴という役割もあると思う。
まだまだ幼く未熟ではあるが、人が成長するにつれて、どうしても身についていってしまう
負のモノ(差別とか偏見とか偏狭さとか)を持たない。
子供の悪役とかもありますけど、圧倒的に多いのは無垢なる存在として、ですよね。
漫画やアニメの主人公に少年少女が多いのもそこを踏まえてではないかと思います。
宮崎駿作品もそうだし。
つまるところ、この「ダークナイト」でのそれは
ブルース本人ではなくいたいけで純粋な少年に言わせることにより
バットマンがいかに正しいかをそれとなく証明する高等テクニックである!(確信)
要するに、この作品はどんな苦しみや悲しみを背負っても戦い続けるバットマンが
どんなに気高いか、どんなにカッコイイかを見せたいだけなのではないか。
少なくとも初見のときから俺にはそうとしか思えなかった。
ジョーカーの狂気もデントの絶望もそれを際立てせるためのお膳立てに過ぎないのか、と考えたら
途端にしょーもなくなった。
こんなこと書いてますがバットマンが偽善だとは思ってません。
彼が信じ貫こうとする正義、彼が持っている信念が本物なのは確かでしょう。
また「バットマンかっけー」を魅せたい、これも至極当然。
ヒーロー映画の最終的な目標ってヒーローをカッコイイと感じてもらうことだと思います。
極端な話、一場面でもヒーローをカッコイイと感じたなら、残りが全部クソでも
その作品はヒーロー映画として成功だと思うんです。
なんですけどね。
「ダークナイト」の見せ方はあざとすぎると感じます。
あと、この監督の作品見てて往々に思うことなんですが
毎回、主人公が過去から来る苦悩なり後悔なりを抱えていて....
そこはいいんです、今時、何の悩みのない主人公の方が珍しいしw
ただ、その描き方がナル臭いっていうか、率直に言うと酔ってるように感じます。
「インセプション」の何かイケすかない感じはこれだったんだな
レビューした当時はうまく書き表せなかったけど
主人公コブは凄腕だが、ひとつのトラウマにとらわれ続ける。
恩師にして義理の父親マイケル・ケインからは、そろそろ前を向けと言われ、
可愛い後輩エレン・ペイジからは自分を許してと諭されたけど
コブ「それでも罪を背負い続ける俺って素敵やん」
そういうことですね、わかります
あー、ごめんなさい、本当にすいません、でもこうにしか見えないんですよね。
つーか、この主人公、とっくに許されてもいいくらい十分苦しんできたよな、って内心思ってませんか?
でも、ウジウジの中が思いのほか心地よくて、だけど子供にもそろそろ会いたいしなー
その結果、回り続けるコマが傾くか傾かないかという微妙なところで切り上げるというあのラスト。
現実かもしれないし、まだ夢の中かもしれないよ?って、そこがまたうざいんだよね。
あと「プレステージ」のクズ野郎も
多くの人の人生をメチャクチャに引っ掻き回しといて
「俺マジシャンだから。後悔はしていない。」とか平然と開き直ってて唖然としましたわ、あのゴミカス
しっかし、嫌いだっていう監督とその作品(しかも4年前の)について
ここまで長文書く俺もキメーな
あと、ウェインって絶対デントに対抗心あったよね。
”デント君、キミもね、頑張ってるみたいだけどね、ボクはキミより前から
街のために戦ってきたんだよ、わかってんのかコラ?”的オーラをそこここに感じるわけですよ。
最初のほうの「まだこの男(デント)を信用できるかどうか....」って台詞は露骨すぎる。
デントが本物の正義漢か偽者のチキン野郎か、アンタがジャッジするのかよ。
まぁ、街を守るという使命だけではなく同じ女性に惹かれているとあれば
全くライヴァル意識がないほうが不自然か。
あー、わかったぞ!
タイトルのダークナイトってさ、スイッチを投げた黒人の囚人のことだろ?
あの人こそ男の中の男だよ。
罪の償いに善良な市民の盾になって死ぬべきだから当たり前、確かにそうかもしれません。
ひとつの善行で過去の悪事が帳消しになるわけではない。
とはいえ、あそこまで毅然と行動に起こせるものでしょうか。
僕は、この「ダークナイト」で一番のヒーローは間違いなく彼だと思います。
しかし僕は言いたい放題、書かせていただきます!
正直、ひいてしまわれるでしょう。ゲスと思われてしまうかもしれません
いや、今回の僕はゲスと化しました!(というか前から?)
では、どうぞ
この作品の最大の見所はやはりジョーカーを演じるヒース・レジャーでしょう。
いやヒース・レジャーが演じるジョーカーというべきだろうか。
役者とキャラクターが融合して、画面の中の架空の存在にもかかわらず
実体として存在するかのように見るものに迫ってくる狂気
これ以前も狂気じみたキャラクターは映画史に多く登場し人気を集めてきました。
最近の作品しか話題に出せず恐縮ですが
「カリフォルニア」のブラッド・ピット、「レオン」のゲイリー・オールドマンなど
しかし、それらを凌駕する究極の狂人、超狂人(そんな言葉あるのか?)
それがジョーカーだったと思います
冒頭の銀行襲撃、強盗団はボスの「用済みになったら消せ、取り分がそのぶん増えるぜ」という
指令のもと次々と仲間を始末していく。最後に残った男こそ、そのボス=ジョーカー。
ピエロ風のマスクを脱いだら白塗りの顔が大写し
度肝を抜くような登場である。
その後もジョーカーの暴走が続く、同じ悪党であるマフィアのルールや価値観すら破壊していく。
誰がこいつを止めてくれ、と思う一方
不謹慎であるが、どこまで行き着くのか、見てみたい気持ちにもさせられる。
そして、凶悪だけど、同時に一種の愛嬌もヒースのジョーカーには在った。
(ニコルソンにもいえることですが)
ゲームで遊ぶ無邪気な子供のように悪事を重ねるジョーカーだが
彼の真の目的は人の本質は醜悪である、ということを世界に、何よりバットマンに見せ付けることだ。
それが達成されれば金も要らない、自分の命も惜しくない。
またバットマンに殺されようが、それもジョーカーにとっては勝利なのである。
バットマンは相手が悪党であっても怒りに任せて殺すことを拒むので
ジョーカーを殺してしまったら、己の信条を無意味としてしまうのだ
(あくまでノーラン版バットマンの場合。T・バートン版は割と殺るのに抵抗なかった感が)
もはや打つ手なし、か?
しかし、ついにジョーカーも読みを外した。彼にとって恐らく初めての誤算。
その時の表情は心底落胆しているように見えた。
ニコルソンのジョーカーなら「あー、つまんねえ」とさっさと切り上げて
また別の、新しい玩具を探しただろう。
本人が言うようにまるで先を読めるかのような、得たいの知れなさ
まるで本物の悪魔なのか、とまで思わせたヒース・レジャー版ジョーカーも生身の人間だったのだ。
ここまで書いて気づいた。
俺、ジョーカー好きなんじゃん。
とはいっても極悪人です。共感とかはありえないし、しちゃいけないんですけど
ただ純粋にキャラクターとして魅力的ですし
悪役がヒーローを超えるほどの人気を得るというのも少なくありません。
日本の漫画でいうとディオ・ブランドーがまさしくそれでしょう。
ジョーカーがフェードアウトしてからも、もう一波乱あります。
この展開というかストーリーの力も「ダークナイト」のヒットや評価の要因な気がします。
アクションよりも話で引きつけるという。
この作品ってアクションシーンもありますけど、それほど目を見張るものではないなと僕は思ってます。
バットマンの格闘シーンは生身で地味。ただ地味だからこそのリアリズム、凄みを出して
個性とするアクション映画もたくさんあるじゃないですか、「アポカリプト」なんてまさにそうだし
でも、「ダークナイト」はそういう風にも感じなかったし、編集も見やすくはなかった。
本当に今作のバットマンの格闘アクションは味気ないなと思います。
護送車とバイクのチェイスシーンは凄かったですが、あれくらいなら他の映画でもありそう。
ただサスペンスとなると出色でしたね。
ヒーロー映画ではヒーローの活躍するアクションシーンがやっぱり見せ場になるだろうし
観客もそれを見たがるもんだと思うけど
「ダークナイト」の、リアルな犯罪ドラマのように役者の演技とスリリングな展開で押していく
という点は斬新でしたね
デントが復讐に乗り出すのが後半30分というのがちょっと急な気もしますが
彼がジョーカーに銃を突きつけコインに託す場面がありますが
普通の作品ならあそこで仇討って終っちゃいますよね。
復讐したいだけなら、殺して回ればすむ事だし
最後まで検事の仕事を彼なりに全うするつもりだったのでしょう。
そこが怖いところです、デントも好きなキャラですけど。
肝心の主役について、バットマン
今回のバットマンことブルース・ウェインは非常につらい立場に置かれています。
同じ街を守る側である警官からは、お前のせいで仲間が死んだと言われ
市民からは余計なことすんな、と非難される。
ついには思い続けたレイチェルまでも失ってしまう。
ゴッサムシティのために正しいと信じることをしてきた
それらは全て無駄だったのか、事態を悪化させただけなのか?
苦しむブルース、耐えるブルース
しかし、ジョーカーとの戦いを経て、自分の役割を改めて見出す。
俺はヒーローじゃない。民衆に愛されることはないだろう。
ならば闇の中で見守り続けるしかない。
バットマンはヒーローじゃない。監視者なのだ。
全ての罪を背負い、走り去るバットマン。
子供に呼び止められても決して振り向かない後姿は、
まるでマカロニウェスタンのガンマンのようだ。マントはポンチョのようにも見えてくる。
「彼は沈黙の守護者 畏れられる番人 ”闇の騎士=ダークナイト”だ」
というゴードン警部補の言葉で映画は終る
この後、現代の英雄神話は最終章に突入する!
ここまでだと、なーんだ結局褒めてるじゃんって感じでしょう?
こっから毒づきますから
ほんとね、この映画傑作だと思うんですよ。
今までのヒーロー映画でもシリアスな部分はありましたが
ついにここまで踏み込んだかというのが「ダークナイト」であり
他の作品とは一線を画するとも言わしめました
しかし僕は見ていて段々重苦しさを感じてしまいましたね。
ブルースがいかに苦しんでいるか追い詰められているかを強調しすぎている感がありました。
あとバットマンの孤軍奮闘を際立たせるためには仕方ないですけど
警察が無能すぎます。いや、無能すぎってのは言い過ぎでした。
ゴードンも頑張ってましたけど、ジョーカー相手だと冴えないっつーか後手に回らざるを得なかったですね
ただ、それ以外の警官はザルでしたね。
留置所でジョーカーの挑発に乗ったオッサン「よぉーし、叩きのめしてやる!覚悟しろ!」って
次の場面で登場したら人質になってて、雑魚すぎワロタw
逆に考えるんだ、ちゃんと訓練受けてる警官でも歯が立たないくらいジョーカーは強い、と考えるんだ
そうこうしてるうちに、どんどんバットマンの孤高性が際立っていく。
それは、この台詞、というか、やりとりで頂点を迎える
ゴードンの息子「どうしてバットマンは逃げるの?」
ゴードン「パパ達が追うからだよ」
息子「何も悪いことしてないのに」
そうです、バットマンは悪くありません、あえて罪を被ったのです。
ただ、それは僕ら観客にはわかってることだよね。
演出でそれを見せてるんだから。
なのに、ダメ押しのように子供に言わす意図は何なんだ?
僕が考えるにズバリこうだ
「純粋な子供の目は何よりも物事の本質を見抜く!」 by レイ
正確じゃないかもしれないけど大体こんな台詞だった
レイといっても色々居ますけど

この人です。
このキャラクターはかっこよかったね。セクシーだった。
一部ではザコ説が囁かれているらしいですが、かっこよければいいのです。
話を戻して彼のこの台詞は、真理をついている
映画にしろ、小説にしろ
物語において、子供というのは純粋さの象徴という役割もあると思う。
まだまだ幼く未熟ではあるが、人が成長するにつれて、どうしても身についていってしまう
負のモノ(差別とか偏見とか偏狭さとか)を持たない。
子供の悪役とかもありますけど、圧倒的に多いのは無垢なる存在として、ですよね。
漫画やアニメの主人公に少年少女が多いのもそこを踏まえてではないかと思います。
宮崎駿作品もそうだし。
つまるところ、この「ダークナイト」でのそれは
ブルース本人ではなくいたいけで純粋な少年に言わせることにより
バットマンがいかに正しいかをそれとなく証明する高等テクニックである!(確信)
要するに、この作品はどんな苦しみや悲しみを背負っても戦い続けるバットマンが
どんなに気高いか、どんなにカッコイイかを見せたいだけなのではないか。
少なくとも初見のときから俺にはそうとしか思えなかった。
ジョーカーの狂気もデントの絶望もそれを際立てせるためのお膳立てに過ぎないのか、と考えたら
途端にしょーもなくなった。
こんなこと書いてますがバットマンが偽善だとは思ってません。
彼が信じ貫こうとする正義、彼が持っている信念が本物なのは確かでしょう。
また「バットマンかっけー」を魅せたい、これも至極当然。
ヒーロー映画の最終的な目標ってヒーローをカッコイイと感じてもらうことだと思います。
極端な話、一場面でもヒーローをカッコイイと感じたなら、残りが全部クソでも
その作品はヒーロー映画として成功だと思うんです。
なんですけどね。
「ダークナイト」の見せ方はあざとすぎると感じます。
あと、この監督の作品見てて往々に思うことなんですが
毎回、主人公が過去から来る苦悩なり後悔なりを抱えていて....
そこはいいんです、今時、何の悩みのない主人公の方が珍しいしw
ただ、その描き方がナル臭いっていうか、率直に言うと酔ってるように感じます。
「インセプション」の何かイケすかない感じはこれだったんだな
レビューした当時はうまく書き表せなかったけど
主人公コブは凄腕だが、ひとつのトラウマにとらわれ続ける。
恩師にして義理の父親マイケル・ケインからは、そろそろ前を向けと言われ、
可愛い後輩エレン・ペイジからは自分を許してと諭されたけど
コブ「それでも罪を背負い続ける俺って素敵やん」
そういうことですね、わかります
あー、ごめんなさい、本当にすいません、でもこうにしか見えないんですよね。
つーか、この主人公、とっくに許されてもいいくらい十分苦しんできたよな、って内心思ってませんか?
でも、ウジウジの中が思いのほか心地よくて、だけど子供にもそろそろ会いたいしなー
その結果、回り続けるコマが傾くか傾かないかという微妙なところで切り上げるというあのラスト。
現実かもしれないし、まだ夢の中かもしれないよ?って、そこがまたうざいんだよね。
あと「プレステージ」のクズ野郎も
多くの人の人生をメチャクチャに引っ掻き回しといて
「俺マジシャンだから。後悔はしていない。」とか平然と開き直ってて唖然としましたわ、あのゴミカス
しっかし、嫌いだっていう監督とその作品(しかも4年前の)について
ここまで長文書く俺もキメーな
あと、ウェインって絶対デントに対抗心あったよね。
”デント君、キミもね、頑張ってるみたいだけどね、ボクはキミより前から
街のために戦ってきたんだよ、わかってんのかコラ?”的オーラをそこここに感じるわけですよ。
最初のほうの「まだこの男(デント)を信用できるかどうか....」って台詞は露骨すぎる。
デントが本物の正義漢か偽者のチキン野郎か、アンタがジャッジするのかよ。
まぁ、街を守るという使命だけではなく同じ女性に惹かれているとあれば
全くライヴァル意識がないほうが不自然か。
あー、わかったぞ!
タイトルのダークナイトってさ、スイッチを投げた黒人の囚人のことだろ?
あの人こそ男の中の男だよ。
罪の償いに善良な市民の盾になって死ぬべきだから当たり前、確かにそうかもしれません。
ひとつの善行で過去の悪事が帳消しになるわけではない。
とはいえ、あそこまで毅然と行動に起こせるものでしょうか。
僕は、この「ダークナイト」で一番のヒーローは間違いなく彼だと思います。
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