fc2ブログ

レスラー

レスラー / THE WRESTLER

ミッキー・ロークを完全復活させたこの映画の監督ダーレン・アロノフスキーは鬼才中の鬼才なのです。
今回の「レスラー」で監督の作品は全部見ることが出来ました。



2008年 アメリカ映画

監督:ダーレン・アロノフスキー
製作:スコット・フランクリン ダーレン・アロノフスキー
製作総指揮:ヴァンサン・マラヴァル アニエス・メントレ ジェニファー・ロス
脚本:ロバート・シーゲル
撮影:マリス・アルベルチ
プロダクションデザイン:ティム・グライムス
衣装デザイン:エイミー・ウェストコット
編集:アンドリュー・ワイスブラム
音楽:クリント・マンセル
主題歌:ブルース・スプリングスティーン

出演:ミッキー・ローク マリサ・トメイ エヴァン・レイチェル・ウッド



あの「ファウンテン」の監督だしな、と身構えていたんですが、いい意味で至極真っ当なドラマでした。
(とはいえ「ファウンテン」は好きな映画です)

ドキュメンタリーと言えるくらい淡々とした演出。
例えば普通のスポーツ映画なら見せ場になるだろう試合のシーンも
スーパーで働いてるシーンも一緒のテンションで撮ってある。どちらも主人公ランディにとっては生活の糧だから。
それでも引き込まれていくのはランディ(本名はロビンらしいけどランディで通しましょう。しつこくランディ
と呼んでくれと言ってたのでね)の心情が伝わってくるからなんですね。
いやー、見やすく、かつ丁寧に作っています。「ファウンテン」の酷評から学びましたね、監督 それは関係ないかな

ですがランディは結構イタい男でもありました。
馴染みの女性ともいよいよ次の段階へ、て勝手に舞い上がって、拒絶され
自棄酒あおってるうちに娘との約束すっぽかして。

多分、昔からこの男はその場の勢いとかテンションのまま後先考えずに突っ走るタイプなんでしょう。

反面、子供から慕われたり人好きのするナイスガイでもあった。

そしてリングの上ではどんなに罵り合い、殴り合い、血を流しても
ひとたびリングを降りれば、どちらからでもない、自然に抱き合う男達
(変な意味ではない。まあ日本にはハグの文化は馴染みがないしねえ。恥の文化はあると言われるが...)

僕は全く体育系ではないですが、いいですねえ。ジーンと来ますねえ。

絶対嫌われたくない娘に嫌われ上司からは馬鹿にされ、意中の人にも彼女の事情があり。

ランディにとって家族は痛みを分かち合う仲間と自分の戦いを見てくれる観客だけだったのだろうかね。

とはいえ、こうまでなったのは自業自得。それは彼自身もわかっていることで。
好き放題生きてきたツケが回ってきたが、どうせ代償を払うのならリングで死ぬぜ。
夢よもう一度と再起をかけるというよりは、出来る限りのことをただ全うするのみという
ある意味プロフェッショナルな男でした。

痛みを堪えながらダイブした直後、映画はエンドクレジットに入るが
僕は何となくランディは死んでいないと思う。
この映画では間違いなく主人公は死ぬだろうと書きましたが。

ただランディが果たして死んだかどうかはこの際どうでもいいことで
最後、彼は苦しみながらも満たされていた、というのが重要なんでしょうな。
心の底から生きてる、とでも言うかね、うん。

劇中、「パッション」が何故か言及されたけど、見た後なら何となく分かる気がする。
あの全編痛みと苦しみだらけの作品の主人公イエス・キリストが
次第にランディとダブってくるからだ。そういえば最後の戦いの前に十字を切っていたし。
でもキリストは作品の最後に復活した。だからランディも生きてるんじゃないかなって。

あー、一回しか見てなかったけど、また「パッション」見てみるか!

スポンサーサイト



トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

レスラー

主演のミッキー・ロークと共演のマリサ・トメイの双方がアカデミー賞主演男優賞と助演女優賞にノミネートされた作品です。ちなみにゴールデングローブ賞では主演男優賞を獲得。ミッキー・ローク久々の返り咲きでした。監督は『レクイエム・フォー・ドリーム』、『ファウン...

レスラー

オリンピックもたけなわなので、スポーツものを観ようと思ったら、 本作はスポーツ根性ものじゃなくて、 目頭が熱くなる人間ドラマでした。 監督:ダーレン・アロノフスキー 製作:2008年 アメリ...

『レスラー』 (2008)/アメリカ

原題:THEWRESTLER監督:ダーレン・アロノフスキー出演:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド試写会場 : ヤクルトホール公式サイトはこちら。<Sto...

レスラー/ミッキー・ローク

ミッキー・ロークの映画をスクリーンで観るのはかなり久しぶりです。DVDでは観てるんですけどスクリーンでとなるとさっぱり記憶がないんですよね。ヴェネチア国際映画祭では見事に ...

レスラー

 『人生は過酷である、ゆえに美しい。』  コチラの「レスラー」は、80年代に人気を博したスター時代から人生のどん底をなめた主演のミッキー・ロークが、自身の人生とオーバーラ ...

『レスラー』

背中で語る人生ほど過酷なものはない。けれど背中で語る人生ほど美しいものもない。これこそまさに魂を大いに揺さぶってくれる、哀愁の漂う男のドラマ。そして永遠に語り継がれる ...

レスラー

『ファウンテン』はがっかりだったけど、『π』も『レクイエム・フォー・ドリーム』も大好きなので、ミッキー・ロークにはあまり期待せずにダーレン・アロノフスキー監督作ってところに惹...

THE WRESTLER 《レスラー》

ミッキー・ローク、復活! 人生は過酷である、ゆえに美しい。 6月19日...

レスラー / THE WRESTLER

ランキングクリックしてね

レスラー [映画]

原題:THE WRESTLER公開:2009/06/13製作国:アメリカR-15上映時間:109分鑑賞日:2009/06/13監督:ダーレン・アロノフスキー出演:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ ...

レスラー 【傷つくよ リングの外じゃ 痛いんだ】

『レスラー』 THE WRESTLER 2008年・アメリカ=フランス ミッキー・ローク主演によるプロレスラーの後半生を描いたドラマ。  ミッキー・ロークといえば猫パンチっていうのが、どうしても深くぐっさりと...

ここでしか生きられない~『レスラー』

 THE WRESTLER  80年代に栄華を誇り、今は落ちぶれたトレイラーパーク暮らしのプロレスラー、 ランディ”ザ・ラム”ロビンソン(ミッキー・ローク)。プロモーターから20年前の 「伝説の一戦」のリ...

★「レスラー」

今週の平日休みは「TOHOシネマズららぽーと横浜」で2本。 その1本目。 スポーツ新聞の一面がここ連日、プロレスラー三沢光晴さんの死亡を伝えてるけど、 この作品にも注目が集まりそう・・・

映画評「レスラー」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2008年アメリカ映画 監督ダーレン・アロノフスキー ネタバレあり

レスラー・・・・・評価額1600円

「レスラー」は優れた人間ドラマであると同時に、ある種のドキュメンタリーの様でもある。 それは自然光の下で手持ちカメラを多用した映像のスタイル以上に、主人公であるランディに彼を演じるミッキー・ロー...

「レスラー」(THE WRESTLER)

「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」「ナイン・ハーフ」「エンゼル・ハート」などの作品に出演し、主に80年代に活躍した米俳優、ミッキー・ローク主演のヒューマン・ドラマ「レスラー」(2008年、米、109分、ダーレン・アロノフスキー監督、R-15指定)。この映画...

DVD:レスラー The Wrestler 命かけても貫き通す「男の意地」の美学。

ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞など、なかなかの評判作。 だったので、お土産DVDシリーズの1つとして頼んだ。 (日本では、1月中旬にリリース) まず驚きは、主演のミッキー・ローク。 あのカッコマンが、このような姿に! そしてもう一つの驚きは、マーサ・トメイ...

「レスラー」痛い作品

「俺にとって痛いのは 外の世界だけさ」監督:ダーレン・アロノフスキー出演:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド勘違いしていた。過去の栄光にすが...

レスラーの贈り物

「7つの贈り物」 「レスラー」 

♯38 「レスラー」

映画 「レスラー」 THE WRESTLER      ダーレン・アロノフスキー監督 2008年 アメリカ 「レスラー」と「96時間」を続けて観ました。 熟年親父の物語。どちらも父と娘のエピソードがありました。 (ネタバレあり) こちらは、かつて栄光誇ったプロレスラー...

レスラー

泣いた・・・・・。

「ザ・レスラー」 THE WRESTLER

・ セクシーな魅力を持ったそのキャラクターから当時セックスシンボルとして称され、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』、『ナインハーフ』、『エンゼル・ハート』等の話題作で主演を務めたあとは近作『シン・シティ』で復活するまですっかり鳴かず飛ばずだったミッキー・ロ?...

[映画『レスラー』を観た]

☆ミッキー・ロークは、私にとって、非常に思い入れのある役者であった。  若い多感な頃に、『ランブル・フィッシュ』や『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』を見せられたら、誰でも憧れるはずだ。  私は、ミッキー特有の、あの口を狭めて、その両端をクィッと上げる表情を...

レスラー

かつて人気を極めたものの、今では落ち目のレスラーになったランディ(ミッキー・ローク)は、スーパーでアルバイトをしながらなんとかプロレスを続けていた。 ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作...

レスラー

一世を風靡した人気レスラー、ランディ・ラム・ロビンソン。しかしそれは20年も前の話。年老いたランディは、衰えた身体に鞭打って現役を続けていた。しかし試合の後、ランデ ...

レスラー

レスラー 267本目 2009-27 上映時間 1時間49分 監督 ダーレン・アロノフスキー 出演 ミッキー・ローク  マリサ・トメイ エバン・レイチェル・ウッド 会場 TOHOシネマズ シャンテ ...

『レスラー』

『レスラー』公式サイト 監督:ダーレン・アロノフスキー 出演:ミッキー・ローク 、マリサ・トメイ 、エヴァン・レイチェル・ウッド 2008年/アメリカ/109分 おはなし Yahoo! ...

レスラー

かつて栄光を味わい、今はすべてを失った男。誰もが避けることのできない老いと孤独、そして愛と葛藤を超え、自分が最も輝ける舞台へ__このギリギリの生きざまが今、熱く胸を ...

レスラー The Wrestler

●「レスラー The Wrestler」 2008 アメリカ Wild Bunch,Protozoa Pictures,Saturn Films 109min. 監督:ダーレン・アロノフスキー 出演: ミッキー・ローク、 マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド    マーク・マーゴリスほか。 <評価:★★★...

09-212「レスラー」(アメリカ・フランス)

俺の本当の居場所  ランディ・ロビンソンは80年代に大活躍したプロレスラー。しかしそんな栄光も今は昔、それでも彼は老体に鞭打ちながら小さな地方興行に出場して細々と現役を続ける不器用な男。ひとたびリングを降りれば、トレーラーハウスに一人で住み、スーパーマー...

コメントの投稿

非公開コメント

こんばんは

こういう不器用な生き方しかできない人間が好きなんです。
ミッキー・ローク自身もそうでしたけど、人間的な魅力に惹かれます。
個人的にはアカデミー賞のときかれが言われたように「おかえり!」
って言ってあげたい、そんな気持ちで一杯でしたよ。^^

相互リンクの件喜んでお受けします。
よろしくお願いします。

No title

KLYさん、こんばんは!

やっぱり不遇な時代を乗り越えてきた人って余計魅力が増しますね。
そして諦めずに頑張り続ければ、復活の時はいつかは来るんだなということも。

今、落ち目気味のあの人この人にも頑張って貰いたいものです。

相互リンクの件ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

コメントありがとう

バーンズさん、こんばんは!

ランディは現実の世界ではイタい部分があっても、
自分の好きな事を全うできて、プロフェッショナルだし、
ある意味 幸せでしたよね。
男のロマンを感じさせるものがありました。

自分の家族だったら困るけど(≧ε≦)
憎めない人で、好きです。

こちらこそありがとうございます

YANさん、こんばんは!

そういえば「レスラー」の割とすぐ後に「3時10分、決断のとき」も日本で公開されて
こちらも好評でした。
どちらも主人公は不器用な男達。
完璧じゃないけど、命をかけれるほど譲れないものがあるっていうのが
心に響きますよね。

戦うお父さんの映画では「狼の死刑宣告」も結構よかったです。
ちょっと過激な作品でしたが.....

不器用だな~

はじめまして
レスラー人生もピークを過ぎ、娘とは絶縁状態、ステロイドの影響で心臓は弱っているありさまの中年レスラー ランディー。

せっかく 親子関係を修復するチャンスだったのに娘さんとの約束すっぽかすのは さすがにマズイよ~(´Ц`)
自分には「この場所しかない」不器用な生き方しかできないランディーは やはり 悲しい男です。

>劇中、「パッション」が何故か言及されたけど、見た後なら何となく分かる気がする。
 ストリッパーのキャシディに乗っ掛かってもらってるときですねv-10
「延々と拷問を受けても 彼は・・・堪えるの」 「そいつは タフだな~」
そんな やりとりしてました

はじめまして

zebraさん、こんにちは

一年前に見て以来なんで間違ってたらすいません。
彼女との関係を前に進めようとしたら失敗して、憂さ晴らしに遊んでたら
約束忘れてたんでしたっけ

その辺りは自業自得かもしれませんけど
一度に複数のものに対処できない気性はわかります。

そのとおり

バーンズさん 返信コメントありがとうございます。
そうです ランディは キャシディに いっしょになろうと  持ち掛けますが
しょせん ダンサーと客・・・距離を 置かないといけなかったんですよ。

 そのことに おもしろくなかったのか ランディは とある バーで飲んでたら そばにいた女性客にいいよられて プロレスラーでしょ。 弟がファンなんだと 意気投合して、 トイレで 〇〇!

 そして その足で トレーラーハウスに帰り 眠り込んじゃって 娘との 約束をすっかり忘れてた。

 アホか!いかんやろ~~~ 大事な娘との約束 すっぽかしちゃうのは~~

 人間そんなに 物事 多く対処できないもんだから しなくてはならない物事が複数あるときは カレンダーに メモするなり ひとつの物事をひとつずつ 片付けてから 次の事を するとか しないと。私生活での 物事も 仕事の作業も いっしょです。キャシディの時のように 冷静さを失うと 大事なことを 忘れてします可能性は 著しく高くなります。逆に キャシディが OKだしたとしても うれしさに 舞い上がっても 同じくらい」忘れる率は高くなる・・・

 ぼくも経験あるんですけど、仕事でも 多くの作業がいっぺんに きたときに あれをやりながら これもやらんといかん、これのついでにあの作業やれ!とか
できないと 怒られ、それが嫌になって 会社をやめたことあります。
 上記の仕事の こなし方は ある程度 失敗と経験を積んでないとできない こなしかたです。

 ランディだって 同じ。 キャシディの事に触れるなら 娘とのことを終わらせてからに しておけば こうは ならなかった! 複数のことを いっぺんに やるなら メモなり しないと・・・

 私生活にしても 仕事にしても 物事をこなすやりかたは さまざまだから むずかしいものですよ バーンズさん。

Re: そのとおり

こんばんは。

まあ、ああいう展開になったのは映画ですし
ランディがどういう男かを際立たせるためのエピソードだったんでしょうね。

>私生活にしても 仕事にしても 物事をこなすやりかたは さまざまだから むずかしいものですよ バーンズさん。

そうですね、実生活では僕もそのあたり結構悩むことがあります、ここで書くのはちょっと控えさせていただきますけども・・・・・
プロフィール

バーンズ

Author:バーンズ
2010年4月からブログ始めました。
1985年生まれの北海道住まい。

詳しくはこちら

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
著作権について
当ブログ内における画像の使用については著作権及び肖像権を侵害するつもりはございません。 何か問題が生じた場合は即刻削除いたしますので、ご連絡ください。