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グラディエーター

五月以来、ラッセル・クロウについて何も書いていないことに気づいた。コレはいかん!
もうすぐ「ロビン・フッド」も公開するし。

グラディエーター / GLADIATOR

紀元2世紀のローマ帝国。老いた皇帝マルクス・アウレリウスは勇敢な将軍マキシマスを後継者に、
と考えるが、逆上した息子コモドゥスに殺される。もはや邪魔な存在でしかないマキシマスを始末し、
さらに彼の故郷イスパニアにも軍隊を回した。
何食わぬ顔で新皇帝となるコモドゥス。しかしマキシマスは死んではいなかった。
家族も地位も失い奴隷となった彼は復讐を誓い、
最強の剣闘士<グラディエーター>としてローマのコロシアムに舞い戻ってくる。
激しく憎みあう二人の男の対決が始まった。

2000年 アメリカ映画 ユニヴァーサル/ドリームワークス製作

監督:リドリー・スコット
製作:ダグラス・ウィック ブランコ・ラスティグ
原案:デヴィッド・フランゾーニ
脚本:デヴィッド・フランゾーニ ジョン・ローガン ウィリアム・ニコルソン
編集:ピエトロ・スカリア
撮影:ジョン・マシスン
衣装:ジャンティ・イエーツ
プロダクションデサイン:アーサー・マックス
音楽:ハンス・ジマー リサ・ジェラード

出演:ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス コニー・ニールセン オリヴァー・リード 
    リチャード・ハリス  ジャイモン・フンスー デレック・ジャコビ



「ロビン・フッド」の公開が迫ってますが、”ロビン・フッドがクロウなんてゴツ過ぎませんか?”という声が
結構聞きます。仮に他の○○さん(特定はしません、荒れても困るしね)が演じてればイメージに合ったかも
しれないし、もっと話題になったりヒットするかもしれません、日本では

ラッセル・クロウなんて酒飲んでしょっちゅう喧嘩してる人だなんてイメージを持っている方も多いでしょうが
(それが事実かどうかはこの際置いておこう)
それ以上にアカデミー賞俳優であり、現在でも大作のヒーロー役では真っ先に候補に挙がる(はずの)
一流スターなのですよ。だから西洋文化の中でも長く語り継がれる伝説であるロビン・フッドを
演じるというのも不思議ではないのです。
(気心の知れたリドリー・スコットが監督だからというのが一番大きいでしょうけど、実際)

そんな”ラッセル・クロウ=ヒロイックな役柄が似合う男優”のイメージを決定付けたのが
この「グラディエーター」なのです。

悲惨な境遇に見舞われても不屈の信念と正義を胸に立ち上がる男
そんなヒーローは過去にもハリソン・フォード、ケヴィン・コスナー、メル・ギブソン...といった男優達により
演じられてきたが、この作品でラッセルが演じるマキシマスはよりリアリティを持った存在として映画史に
登場したのだった。
マキシマス役のオファーは他にもメル・ギブソン、シルヴェスター・スタローン、アントニオ・バンデラスにも
出されていたそうだが、最終的に決まったのは当時は最も知名度の低いラッセルだった。
「L.A.コンフィデンシャル」でワイルドで一種の危険も併せ持つ正義漢(このイメージは「マッドマックス」で
世に出たギブソンも重なる)を演じ、重量級演技派、久々に現る!と映画界を唸らせたラッセルであるが、
これほどの史劇大作に抜擢するにはさすがに賭けだったと思う。最終決定は誰にせよ拍手を送りたい。
とはいえ、この「グラディエーター」に起用される前はすでに「インサイダー」に出演しており、ここら辺から
ラッセルの業界内の評価は急速に高まっていたのかもしれない。
キャスティング等の逸話に関しては詳しくはここを見ていただきたい。

この作品は映像美や迫力溢れる格闘シーンなど”これが大作映画だ!”と言わんばかりの醍醐味が盛り込まれているが
それ以上に名作としてのレヴェルまで押し上げているのは、やはりマキシマスやその他のキャラクターあってだと思う。
そこに深みが無ければマッチョ万歳映画(下記参照)で終わってしまっていたかも。
驚くのは、撮影中の段階でも脚本は未完成だったということです。
(逆に言うとキャラに自分の意見を入れる余地が大きいとも言える?)

絶対コケられない製作費、実力派揃いだが集客力は未知数のキャスト
当時のトレンドでもなんでもない歴史モノ、そして不確定の粗筋...結果、出来上がったのは神作品。

そう考えるとこの映画はまさに奇跡のようだ。

マキシマスは復讐だけでなく理想の為にも戦う。恩師でもあった先代皇帝の理想であり夢だ。
さまざまな地域で原住民と戦い、勝利を収めた彼だが
同時に戦いの残酷さも嫌というほど知っているわけで、それでも意味のある戦いをしていると信じていた。
(自己正当化かもしれませんが、人間の原点でもあるように感じます)
しかし辺境の闘技場に立ったとき彼は愕然とする。そこにあったのは、見せものとして楽しませるだけの死。
生きるためには自分と初めて会うような者であろうと昨日まで友人だった者であろうと
殺さなければならなかった。俺が今まで戦ってきた証がこれか、もはやこんな世界でしか生きられないのか。
自暴自棄になったかに見えるマキシマスだが
剣闘士仲間のジュバや、かつて剣闘士だった奴隷商人プロキシモとの交流から闘志を取り戻す。
埃をかぶっても胸には誇りを。
へへ、結構巧いこと言ったぜ (-L-)シメシメ (自己満ウゼー)

このジュバって、面白黒人みたいな存在ではないけど、この作品では和みキャラだと感じる。
ジャイモン・フンスーも実力派俳優としてすっかり地位を築きましたね。
近作はちょっとアレだけど。

マキシマスの宿敵コモドゥスもまた素晴らしい。彼は非情な野心家だが愛に飢えた若者でもあった。
(設定では19歳だったとか。マジかよ)コモドゥスは愛されたり、慕われたかったのだろう。
しかし父親は将軍マキシマスを信頼し、民衆はこれまた剣闘士マキシマスを支持する。
恐らくコモドゥス自身も以前はマキシマスに好感を持っていただろうし、憧れてもいたんだと思う。
それが余計に憎悪を強くしている。
この物語はマキシマスの復讐劇だが、同時にコモドゥスにとってもマキシマスへの復讐劇なのである。
とはいえ、”俺を愛せ!”というだけじゃなく (姉に朕の子供を産めと迫る場面はやべぇっす...(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル )
自分も他者を愛さなきゃね。
その気持ちがあればあればコモドゥスの運命も少しは違ったのではないかな。
何か、愛、愛って書き続けると胡散臭くなってきた。気をつけよう。

しかしまあ、ホアキンのコレってさ。
どういう意図があったにせよ結局マイナスにしかならなかったと思うんだがなー。
ホアキンが俳優業に復帰するの嬉しいことですが。

映画を見た方はマキシマスの運命はご存知だと思いますが、ところどころにマキシマスの夢?というか
未来イメージみたいなものが短いカットで差し込まれ、そこからも最終的に死ぬってことは想像が付くと思います。
(冒頭の麦に触れるところもそうだし、フラッシュフォワードの映像もどこか天国や理想郷を連想させる)
実際、彼は旅立つわけですが、家族とも再会でき、親友ジュバも自由を得て故郷に帰ろうとするところで
エンドクレジットに入り、映画は後味良く見終えることが出来る。

この時のジュバの台詞がいいよね、「今は無理だけどまた会える」って。顔も全開の笑顔だし、全然悲しくないw
いや、悲しいのかもしれませんが、むしろ清清しさすら感じさせ、あぁ良かったねって余韻に浸ることが出来るのさ。

ちなみに一番お気に入りの戦闘場面は初めてローマ入りしてからのチャリオット戦です。
あのダイヤモンド隊形!のとこね。クライマックスがしょぼ過ぎるって意見も聞きましたが、
最終的には男二人の因縁になるから、あれくらいがちょうどいいんだと思う。
マキシマスのダークな鎧、コモドゥスの真っ白い鎧という対比もいい!
またコモドゥスは最後の戦いの前にマキシマスを刺して致命傷を与えるがそれでも勝てないという
そういうところもコモドゥスはなかなかおいしいキャラである。

しかしラッセル、本当に来日するのかー。8年前の「ビューティフル・マインド」以来。
あの時は「俺はナンパで失敗したことはないよ」という名言を残していかれました。
それを聞いた日本女性の方々は「何言ってんの、このオッサン」と思ったかもしれませんが
あれはジョークだったんだと思いますよ! 多分......

いくら日本では馴染みが無いほうだといっても何かしらTVで取り上げるだろうし
いくつかの番組でもゲストで出るだろう。

スッキリとかスマスマかなー、あとは嵐の番組とか?それともいいともか?
バラエティのノリとかにノッてくれるタイプにはちょっと思えないんですが・・・・・ファンから見ても
とりあえず芸人がイジるのだけはやめてくれ。

SMAPの面々とラッセル並んだ図・・・・・全然想像できねーよw

いろんな意味でドキドキするし楽しみです。


追記:マッチョ万歳映画とは?

つっても、ご大層なもんではなく自分の主観で勝手に考えたものです。軽く読み流してもらえれば幸いです。

主人公
・筋肉質である
・格闘技にも銃火器の扱いにも長けている
・正義感、愛国心、過去の因縁を清算し誇りを取り戻すこと、家族愛などをモチヴェーションにして危機に立ち向かう
・ラストは見事、使命を果たしヒロインの美女をGET! あるいは人質となってた娘と再会する、とか

悪役
・サディスティックで、徹底的な悪人
・どういう経緯で悪に走ったかということは大して重要ではない。
 もちろん、悲しい過去が......なんていうのもない。
・とにかく悪いって言ったら悪いの!
・ありえないほど残酷な方法でやっつけられる。
・作品によっては極悪人であるにもかかわらず、ユーモアや憎めなさを感じさせ
 結果、主人公より人気者になることもある。

雑魚
・主人公無双により、台詞も無いうちに次々とやっつけられていく存在。マシンガンで蜂の巣にされることも

作品全体の傾向
・大量の火薬による爆発
・シリアスなストーリーでも適度なジョークを入れる
・脇役には面白黒人。吹替は70%くらいの確立で高木渉、もしくは楠大典
・本来、事件に当たる警察や軍隊が無能で、傍観するしかない。そんな状況で一人戦う主人公
・原語より吹替版の方が面白い場合がある
・吹替版の台詞がネットスラング化 
・中2病にヤラれた輩が中身がねえよなとか言って真っ先に批判する類の映画
 (実際に酷い出来の物も多いが)
・しかし、次第に凝った映画、難しい映画、おゲージツ映画が面倒くさくなってきた時に
 見たくなるのもこのタイプの映画

自分が思いつく限り、大体こんな感じでしょうか。
ちなみに僕はこのジャンルの映画は大好きだ

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映画『グラディエーター』にみる「帝国」

&#160; グラディエーター Gladiator &#160; 出演:ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス コニー・ニールセン 監督:リドリー・スコット 制作:アメリカ 二〇〇〇年 &#160; &#160; &#160; ...

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No title

こんばんは。

やはりバーンズさんは、男の映画に燃えますね。
おもしろかったです。

この頃のラッセルは、彗星のごとく現れたスターかな。
マッチョの様で、繊細でもあり、役柄も幅広く、
いまだに底が見えてない気もする、すごい俳優ですよね。
人格面はさておき……。
抜擢したリドリー氏も漢です!

コモドゥスは実在の皇帝で、なのに史実を捻じ曲げた設定で、
難しい役だったと思いますね。
ホアキンの実力がわかりますが、その彼もおかしな方向に……。
十年も経てば、いろいろあるものですね~。

チャリオット戦はボクも好きです。
マキシマスの歴戦の将軍らしさが出ています。
制作現場は修羅場の連続だったんでしょうけど、
七月に見直して、やっぱり名作だと思いました。

No title

ケンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

自分で見直してみたら、確かに書いた文章の量が他のとは段違いですね(笑)
自分とは正反対の強い男に憧れるんです、多分。

当時のラッセルは1~2年に一本しか出ないくらい作品を厳選して、ファンとしてはやきもきしました、もっと出てくれーって。
そこがまた、一流俳優!ってカリスマティックな雰囲気を放ってましたね。
もちろん今でもちゃんとした映画に出てるとは思いますが。
そんなラッセルの新作「THE NEXT THREE DAYS」が本日全米公開!同日に封切られるのは「ハリー・ポッターと死の秘宝」
ですから、興行度外視で評価で勝負って感じかな。

ホアキンの「オレ、ラッパーなるわ」→「嘘でした、役者続けます」って一連の行動は本人達の間では何か目的があったのかもしれませんが
パンピーには結局、何をやりたかったか分からない変な人のイメージを与えただけじゃないかなー。
まあホアキンってパッと見、気難しい印象だから、こういうことしてもさもありなんって気がします。
とはいえ彼も実力派俳優だから復帰を喜ぶ映画ファンは多いと思います。
プロフィール

バーンズ

Author:バーンズ
2010年4月からブログ始めました。
1985年生まれの北海道住まい。

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